近代サヴィルロウテーラリングを生み出したフレデリック・ショルティの正統な継承者であり、王侯貴族・ブルジョア・セレブリティといった数々の特権階級にある男性(そして少数の大胆な女性)に洗練された装いを提供してきたアンダーソン&シェパード。2011年に発行された本書はそんな彼の有名なテーラーの一世紀に渡る伝統の裏側を垣間見られる一冊となっています。 外箱には多少のスレなどありますが本自体は綺麗な状態です。 出版社 : Quercus Books 発売日 : 2011/10/18 289ページ ゲーリー・クーパー、ケリー・グラント、フレッド・アステア、チャーリー・チャップリン、マレーネ・ディートリッヒ・・・本書には多くの往年のスターたちがA&Sのスーツを纏った姿で掲載されていますが、個人的に気になったのは現在の顧客たちも彼らのオーダーしたスーツと共に登場していることです。外交官、ギャラリーオーナー、写真家、作家、画家、デザイナー、調香師、投資家、アスリート、ビジネス一家、アートディーラー、美術コレクター、弁護士、プロデューサー、音楽家、俳優。彼らが自らのプライベート空間で撮影をしており、単なる成金ではない成功者たちの着こなしとそれを取り巻く生活空間のセンスも覗くことが出来ます。また穿った見方をすれば、A&Sが自らの顧客としてどういった人々が相応しいと考えているかが現れているとも考えられます。まあ見事に白人オンリーなのですが洋服というものを深く知ろうとするならばそこのマナーを掘り進めていくしかありませんので、そういった意味でも良書と言えると思います。